そもそもお宮参りとは?

 子供が自分の生まれた土地の「守り神」に初めてお参りをする風習です。
生まれた土地の守り神を「産土神(うぶすながみ)」といいますが、
代々続く家では、先祖の守り神である「氏神(うじがみ)」と同じ場合も多いようです。

 お宮参りは、鎌倉・室町時代から行われていて、
子供が初めて「産土神」の「氏子」の一員と認められるという意味を持っていました。

また、昔はお産を「穢れた(けがれた)」ものと考えていたため、
お宮参りはその「忌明け」ともされていました。

「氏神(うじがみ)」とは

氏神(うじがみ)は、日本において、同じ地域(集落)に住む人々が共同で祀る神道の神のこと。
同じ氏神の周辺に住み、その神を信仰する者同士を氏子(うじこ)という。
現在では、鎮守(ちんじゅ)ともほぼ同じ意味で扱われることが多い。氏神を祀る神社のことを氏社という。

伝統にのっとって行う場合

 お宮参りは「生後○日目に行う」とされていますが、
その日数は地方のしきたりによって違います。

「男の子は生後31日目」「女の子は生後32日目」
というところもあれば、
「男女ともに50日目」あるいは「男女ともに100日目」
とするところもあります。

 当日は「父方の祖母」または「母方の祖母」が、
「白羽二重」の内着を着た赤ちゃんを抱きます。
その上に「祝い着」を羽織らせて結びひもで、抱いている祖母の首に回して止めます。
母親は、そばに付き添うだけです。

 祝い着は、母方の実家が贈るのがしきたりとされています。

男の子は、黒や紺の地色の羽二重地に染め抜き五つ紋。
「松や鶴」「鷹や武者」など、めでたく、たくましい図柄を配してあります。

女の子の祝い着は、ピンクや朱色の、りんずやちりめん地に、
「花や蝶」「手まり」などの友禅模様で優しい愛らしく整えてあります。

 神社では、神主の「祝詞」と「お祓い」を受け「玉串」をささげて、
子供の健やかな成長を祈願します。
その際は「御初穂料(はつほりょう)」の表書きで「祈祷(きとう)料」を納めます。

 神社からいただいた「お神酒」や「お札」「お守り」は、
自宅の神棚に供えます。
そのあと一同で、親戚やお世話になった家へ、お礼の挨拶に回り、
内祝いの品を配ります。

さらに、帰宅後は近親者で祝い膳を囲んで終了となります。

最近はお宮参りも合理的になっています

 お宮参りを正式に行おうとすれば、1日がかりです。
赤ちゃんも母親も疲れてしまいます。

 もちろん現在もお宮参りの習慣自体は根強く残っていますが、
その方法は簡略化されています。

 生後○日ちょうどでなくても、その前後の休日、
近くの神社へ家族だけでお参りするという方法が現在の主流になっています。
ただ、どちらかの祖母が近くにいるなら、一緒に参拝することが多いようです。

 古いしきたりよりも、
「赤ちゃんの健康状態」「母親の産後の回復の様子」「家族の都合」
を優先させるのは決して悪い考えではなく、合理的かつ自然な方法と言えるでしょう。

 神社で祝詞やお祓いを受ける時は「お宮参り祈祷○千円」などの表示に従って、
所定の金額を払います。のし袋などは不要です。
宗教的なことにこだわらないなら、神前で合掌するだけでもよいのです。

 赤ちゃんの祝い着も、のちのち外出着に使える程度のベビードレスで十分です。

 あいさつ回りも、何軒も回るのは母子ともに疲れてしまいます。
内祝いはデパートなどから配送することにして、
当日は自宅やレストランで、ゆっくりとお祝いの食事を楽しむ方がよいでしょう。